鼻水や鼻づまりは、風邪や花粉症、アレルギー性鼻炎などの症状のひとつです。
鼻水をティッシュでふき取る回数が増えて、鼻の下が荒れて困る…という方も多いでしょう。
鼻水が出るのは体を守るためですが、体内の水分不足が原因の可能性があるといわれています。
今回は、鼻水が出るわけや、アレルギーと体内水分の関係についてのご紹介です。
「水毒」についてや、正しい水分補給の方法もご紹介しますので、風邪や花粉症の鼻水対策をしてみてください。
鼻水はどうして出てくるの?鼻水には大切な役割がある!
呼吸をしたりにおいをかいだりする器官である鼻は、体を守るという大切な役割のために鼻水を出しています。
鼻水が出るときと出ないときがあることからわかるように、鼻水が出ることには理由があるのです。
また鼻水には、さらさらしたものや粘り気のあるものがあり、すべて同じではありません。
ここではどうして鼻水が出てくるのか、どんな鼻水の種類があるのか説明していきます。
鼻水が出てくる理由
鼻水が出るのは、鼻の中に潤いを与えたり、空気中の細かいゴミを排除したりするためです。
鼻で呼吸をすると外から空気が入ってきますが、その空気がそのまま肺に送られるわけではありません。
鼻の中に取り込まれる空気は、体内よりも温度や湿度が低いことが多く、またホコリやウィルスが含まれていることがあります。
空気の温度を約30℃~37℃、湿度を約80%~90%に調整し、ホコリなどの異物が肺に入らないようにするために鼻水が出るのです。
鼻内部の表面を覆っている鼻粘膜は、空気に潤いを与えたり、小さな異物を排除したりするために、粘膜腺から粘液を分泌します。
花粉やウィルスなどが鼻に入ると鼻水が出るのは、鼻粘膜が大量の粘液を分泌して洗い流そうとしているからです。
分泌された粘液は、知らないうちに飲みこんだり、痰(たん)として口から排出したりしているため、すべてが鼻水になるわけではありません。
また、鼻粘膜が花粉などの異物に対してアレルギー反応を起こすと、リンパ球が作った抗体が集まり、大量のヒスタミンが放出されます。
ヒスタミンは、血管の透過性(血管とその周りの水分移動)を亢進(こうしん)させるなどの炎症症状を引き起こす刺激物質です。
血管からにじみ出た体液は、鼻粘膜の粘液としても分泌されます。
そのため、花粉などの異物が入ると鼻水がたくさん出たり、鼻水が止まらなくなったりするのです。
鼻水の種類と成分
風邪や花粉などのアレルギーによる鼻水は、大きく次の2種類に分けられます。
1. さらさらしていて透明の鼻水
水っぽくさらさらしていて透明の鼻水は、風邪の初期症状やアレルギー性鼻炎などの症状と考えられます。
水分が多く、意識しなくてもたらたらと出てくることが多いです。
2. 粘り気があり白や黄色の鼻水
白や黄色に近くねばねばした鼻水は、アレルギー性鼻炎が悪化しているときなど、炎症を起こしているときに出ます。
色が透明ではないのは、侵入したウィルスや細菌と戦った白血球が多く含まれているためです。
また鼻水は、血液の血漿(けっしょう)という液体成分からできているため、大部分は水分ですが少量の塩分が含まれています。
子供の鼻水の特徴
子供は大人よりも鼻水が出やすいといわれています。
体の小さい子供は大人ほど体力がなく、免疫力が高くないからです。
また、子供の鼻腔は狭いため、大人のように鼻水がたらたらと出ていない場合でも、鼻の中にたまっている可能性があります。
赤ちゃんや自分で鼻をかめない子供は鼻づまりになりやすいので、口で呼吸をしていないかチェックしてみるとよいでしょう。
鼻水が出やすいのはどんなとき?鼻水が出たらこうしよう
鼻水が出るのは、風邪や花粉症のときだけではありません。
寒い季節に熱々のラーメンを食べたときなどにも、鼻水がたらーっと出ることがあります。
また、鼻水が出ているとついすすってしまうかもしれませんが、症状を悪化させたり耳を傷めたりすることがあるので注意が必要です。
ここでは鼻水が出やすいシチュエーションや、鼻水・鼻づまりの正しい対処法について説明します。
鼻水が出るのはこんなとき
鼻水が出やすいのは主に次のようなときです。
- 風邪
- 花粉症などのアレルギー疾患
- 泣いたとき
- 寒いところに行ったとき
- 熱いものを食べたとき
- 辛いものを食べたとき
なぜこのようなときに鼻水が出るのか見ていきましょう。
風邪
風邪をひいたときに鼻水が出るのは、風邪の原因となるウィルスが鼻粘膜に付着するためです。
体は異物であるウィルスを排除しようとして鼻水を出します。
また、鼻粘膜がウィルスに感染すると、ウィルスと戦うための免疫反応により刺激物質が作られるため、鼻水が大量に出てくるのです。
花粉症などのアレルギー疾患
花粉やホコリなど、アレルギーの原因となる物質が鼻粘膜に付着することでも鼻水が出ます。
鼻粘膜でアレルギー反応が起こり、原因物質を排除したり殺したりするために大量の鼻水が出てくるのです。
泣いたとき
泣いたときに出る鼻水の大部分は、涙が鼻へと流れ込んだものです。
目と鼻は奥の方でつながっているため、涙が多いときは鼻水が出やすくなります。
寒いところに行ったとき
寒いところで鼻水が出るのは、外の空気の温度と湿度を適切な状態にして体内に取り入れるためです。
また、窓ガラスの結露のように、急激な温度変化により呼気が水滴になることでも鼻水が出ます。
熱いものを食べたとき
ラーメンなどの熱いものを食べたときも鼻水が出ることがあります。
寒いところで吐いた息が鼻の中で水滴になるように、食べ物の熱い蒸気が鼻の中で冷やされて水滴となり、鼻水になるのです。
辛いものを食べたとき
辛いものを食べて鼻水が出るのは、食べ物に含まれる香辛料が原因といわれています。
唐辛子のカプサイシンやコショウのピペリンなど、辛み成分が自律神経に働きかけるため鼻水が出やすくなるのです。
鼻水・鼻づまりの対処法
鼻水が出たり鼻がつまったりしたときは、正しい方法で対処することが大切です。
花粉症や風邪などによる鼻水や鼻づまりは、以下の方法で解消しましょう。
鼻水を取り除く
鼻をかんだりティッシュで拭きとったりすることで、出てきた鼻水を取り除きます。
ただし鼻をかむときは、片側ずつゆっくり行うことが大切です。
強く鼻をかんだりすすったりすると、鼓膜の傷みや中耳炎を引き起こすことがあります。
自分で鼻から鼻水を出せない子供の場合は、ティッシュやガーゼ、鼻吸い器などで鼻水を取り除いてあげましょう。
鼻うがいする
鼻うがいをすることで、鼻水や鼻づまりの原因となるホコリやウィルス、花粉などを洗い流すことができるといわれています。
インドの伝統医学をルーツとする鼻うがいで、風邪や花粉症対策してみてはいかがでしょうか。
ボトルを使って鼻うがいする方法は次の通りです。
- 塩分濃度0.9%の食塩水を体温程度に温め、清潔なノズル付きボトルに入れます。
- 前かがみの姿勢で鼻の片方にノズルを差し込み、「えー」と声を出しながらゆっくり食塩水を流し込みましょう。
右の鼻の穴に入れるときは、顔を左側に傾けるとやりやすくなります。 - 流し込んだ食塩水が、反対の鼻の穴か口から出てくればOKです。
1日1~2回程度を目安にして、やりすぎないように注意しましょう。
鼻づまりを解消するには
鼻づまりの解消には、鼻を温める、部屋を加湿する、鼻うがいをするなどの方法がおすすめです。
鼻を温める場合は、熱いお湯にタオルをひたして絞るか、電子レンジを利用するなどで、鼻にあてる蒸しタオルを作ります。
タオルを手首に当てられる程度に冷まし、小さくたたんで鼻にのせましょう。
また、部屋の湿度が低いと鼻づまりになりやすいため、加湿器などで加湿するのも効果的です。
お風呂で湯舟に体を入れて、体全体を温めながら蒸気を吸い込むことでも鼻づまりを解消しやすくなります。
水分不足とアレルギー疾患は関係あるの?鼻水の原因は「水毒(すいどく)」
花粉症などのアレルギー疾患や風邪は、体内の水分が不足していることが原因であるといわれています。
空気だけでなく体も乾燥していると、花粉やウィルスなどが鼻から侵入しやすくなるのです。
また東洋医学では、アレルギー疾患は「水毒(すいどく)」によるものと考え、水毒の改善が鼻水などの症状の改善につながるとしています。
ここでは水分とアレルギーの関係について見ていきましょう。
アレルギー疾患と「水毒」の関係とは
東洋医学でいう水毒とは、体の中の水の巡りが悪い状態のことです。
東洋医学では、花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の原因は水毒であると考えます。
水毒は、本来排出されるべき不要な水分が体の中に残っている状態であり、不要な水分を鼻や目から排出するために鼻水や涙が出るのです。
女性は男性よりも筋肉量が少なく、水分代謝が悪い傾向にあることから、女性の80%~90%が水毒体質であるといわれています。
また、水毒の症状はアレルギー疾患などによる鼻水だけではありません。
水分代謝がうまくいかず、むくんだり手足が冷えやすくなったりすることもあります。
関節に水が溜まる、雨の日の調子が悪くなるなども、水毒による症状です。
水分が不足しても多すぎても「水毒」の状態になる
体内の水分量が足りなくても多すぎても、水毒の状態になります。
水毒の原因には、バランスの悪い食生活やストレスなどがありますが、体内の水分が動かないことが一番の原因です。
体から不要な水分を排出するには、十分な水分補給をする必要があります。
私たちの体に必要な水分量の目安は、大人の場合1日あたり約1.5Ⅼ~2Ⅼです。
人間の体内では、毎日およそ2Ⅼ~2.8Ⅼの水が循環しているのですが、水分が不足するとうまく循環させることができません。
体は汗や尿の量を減らして、水分をためこんでしまうからです。
水分がたまってしまうと、むくみや冷え、便秘などの不調があらわれるようになります。
しかし、水分を多く摂取するだけでは、体内の水はスムーズに循環しません。
体に水をためないためには、とり入れた水分をうまく排出させることが大切なのです。
エアコンの効いた部屋で何時間もデスクワークをしている人が、1日に何リットルも水を飲んでしまうと、水は排出されずにたまってしまいます。
たくさん水を飲む場合は、運動したり半身浴したりするなど、体から余分な水分を出すための工夫が必要です。
水毒の状態にならないためにも、適切な量の水分を補給し、補給した分をしっかり出すように心がけるとよいでしょう。
水分補給で花粉症対策できる?飲み方の3つのポイント
十分に水分を補給し不要な水分を外に出すことで、花粉症やアレルギーなどによる鼻水の症状を軽減できる可能性があるといわれています。
体に余分な水分を残さなければ、鼻水として排出されなくなる、という考え方です。
ここでは花粉症対策のための、正しい水分補給の方法を説明します。
水分補給のポイントは次の3つです。
- 体温に近い白湯を飲む
- 起床後・就寝前・食前に飲む
- 1日に1.5Ⅼ~2Ⅼの水を飲む
ただし、取り入れた水分を排出させて、体内の水分を循環させるためには、適度な運動や半身浴などで汗をかくことが大切です。
「飲んだ分はしっかり出し、出した分を補給する」というサイクルを忘れないようにしましょう。
1. 体温に近い白湯を飲む
花粉症対策の水分補給に適しているのは、冷たい水ではなく、体温に近い白湯や常温の水です。
白湯を飲むことにより内臓が温まり、体温が上昇して免疫力が高まるなどの効果が期待できます。
鼻水が出るのは、不要な水分がたまっていて冷えやすくなっている「水毒」の状態です。
冷蔵庫で冷やした水は避け、沸騰させたお湯で作る白湯や、常温の水を飲むようにしましょう。
「水道水を10分以上沸かして白湯を作るのは面倒…」という方には、ウォーターサーバーで白湯を作る方法がおすすめです。
ウォーターサーバーのお湯や冷水は、天然水や不純物が除去された安全でおいしい水を使っています。
お湯と冷水を混ぜて適温にするだけなので、手軽に白湯や常温の水を飲みたい方に向いているといえるでしょう。
また、白湯にすりおろしたショウガやハチミツを入れると、余分な水分を排出してむくみを改善する効果が期待できます。
ショウガを入れると、体を中から温める作用もアップするので、冷えやすい方はぜひ試してみてください。
2. 起床後・就寝前・食前に飲む
花粉症対策で白湯を飲む効果的なタイミングは、起床後、就寝前、食前です。
「最強のデトックスウォーター」とも呼ばれる白湯を飲むなら、最適なタイミングを覚えておくとよいでしょう。
起床後
朝起きてコップ1杯の白湯を飲むと、寝ている間に失われた水分の補給ができます。
体が少しずつ温まり、負担をかけずに胃腸の働きを促進する効果もあるので、一口ずつゆっくり飲んでみてください。
就寝前
寝る30分ほど前に白湯を飲むと、副交感神経が刺激されてリラックス効果をもたらします。
体が温まることとリラックス効果により、眠りにつきやすくなるでしょう。
食前
白湯を食事の前に飲む場合は、食事の30分前を目安にするのがおすすめです。
白湯を飲んでから食事をすると、食べたものの消化・吸収が促されます。
3. 1日に1.5Ⅼ~2Ⅼの白湯を飲む
大人が1日に飲むとよい水の量は、約1.5Ⅼ~2Ⅼです。
起床後や就寝前などに加え、喉が渇いたと感じたときなど、あなたの体が水分を欲しがっているタイミングで飲みましょう。
1回につきコップ1杯分を目安にし、時間をかけてゆっくりと白湯を飲んでみてください。
鼻水などのアレルギー症状対策には適度な水分補給がおすすめ!
鼻水やくしゃみが出るのは、空気中のホコリやウィルスなどから体を守るためです。
また、体内の水分が循環していない状態である「水毒」が原因で、余分な水を鼻水として排出している可能性があります。
水はたまりやすいのですが、動かしやすい性質もあるため、白湯などで水分補給をして運動で汗をかくなど、水がスムーズに循環する工夫をするとよいでしょう。
まずは、朝起きて1杯の白湯を飲むことから始めてみませんか。