「薬を水なしで飲んだりすることがあるけど、本当に大丈夫かな?」
「子どもに薬を飲ませるとき、ミルクと一緒に飲ませてもいいのかな?」
意外と知られていませんが、薬は水で飲まないと、本来の効果を発揮することが出来ません。
さらに、薬を飲むのに最適な水の温度と量があることはご存じでしょうか?
今回は、薬を水で飲まなければいけない理由と正しい飲み方、薬を水以外で飲むとどうなるのかについて紹介します。
薬を水なしで飲んではいけない?水で飲む理由。
なぜ薬は水と一緒に飲まないといけないのでしょうか?
薬は水と一緒に飲むことで、胃や小腸の中で溶けてからだに吸収されます。
薬を水を使わずそのままの状態で飲むと、薬が胃や小腸の中できちんと溶けず、からだに吸収されにくくなってしまいます。ひどい場合だと、吸収されずに便と一緒に出てしまうこともあります。
カプセルや錠剤の場合、食道にくっついてしまうことがあります。そのままカプセルや錠剤が溶けると、食道に潰瘍を引き起こす可能性も出てきます。
また、粉末の場合は薬がそのまま肺に入ってしまい、肺炎を引き起こしたという事例があります。
薬は水で正しく飲むことで、本来の効果を発揮できるのです。
薬は水で!正しい薬の飲み方。
「薬は水と一緒に飲まないといけないことはわかったけど、どのくらいの量で飲んだらいいの?お湯じゃダメなの?」
そんなあなたに、薬を飲むのに最適な温度と量を伝授します!
薬をお水で飲むときの量
薬を飲むのに最適な水の量はコップ一杯分(約200cc)です。
水の量が少なすぎると、薬が胃に到達せず、食道にとどまってしまうことがあります。そのまま食道で薬が溶けてしまうと、潰瘍を引き起こす恐れもあります。
また、薬が胃の中で中途半端に溶けてしまうことがあります。その場合、胃に負担がかかってしまったり、薬が充分に吸収されないことに繋がります。
水の量が多いほうが薬の吸収速度は速くなります。そのため、少し多めの水で薬を飲むことは問題ありません。
しかし、あまりに水の量が多すぎると胃の中の薬を小腸に送る時間が長くなることがあります。その結果、薬の吸収が遅れる可能性も出てきます。薬を水で飲むときは「コップ1杯分の水」と覚えておきましょう。
薬を水で飲むときの温度
薬を水を飲むには常温の水かぬるま湯(約37.5°)が最適です。
一般的に薬が胃や小腸の中で溶ける速度は、水の温度が高いと速くなります。
そのため、例えば夏場に冷たい水で薬を飲んだりすると、薬が胃や小腸の中で溶けにくくなってしまいます。その結果吸収が悪くなり、充分な効果を得られないことがあります。
反対に熱いお湯だと薬は溶けやすくなりますが、飲みにくくなってしまいます。
また、消化酵素剤などのタンパク質でできた薬の場合、熱いお湯で薬の成分を分解してしまう恐れがあります。薬を水で飲むときは、季節を問わず常温の水か白湯で飲むようにしましょう。
薬を水以外のもので飲むと、どうなるの?
「薬をコップ一杯分の常温水かぬるま湯で飲むのがいいと分かったけど、それ以外のもので飲むと何がいけないの?」
薬を水以外で飲むことはあまりおすすめできません。薬の吸収が悪くなったり、思わぬ副作用によって、からだの調子がかえって悪くなったりすることがあります。
ここでは薬を水以外で飲むとどうなるのか、種類別に解説します。
お茶、牛乳、コーヒー、炭酸飲料の場合
お茶
薬を飲むときにお茶と一緒に飲む方はたくさんいらっしゃると思いますが、基本的には薬をお茶で飲んでも、まず問題はありません。
しかし、お茶に含まれている「タンニン」という成分が、貧血治療薬の成分の吸収を悪くするという報告があります。薬は水で飲むほうが無難でしょう。
牛乳
赤ちゃんに薬を飲ませるときに「ミルクと一緒に飲ませても大丈夫かな?」と疑問に思うお母さまもいらっしゃると思います。
牛乳にはカルシウムがたくさん含まれています。
抗菌薬や一部の骨粗しょう症治療薬など、薬の種類によっては、そのカルシウムが薬の吸収を悪くして、効果を弱くしてしまうことがあります。薬を牛乳で飲むことは避けたほうが良いでしょう。
また、赤ちゃんの場合ミルクの味が変わったように感じられて、ミルク嫌いになってしまう恐れもあります。
コーヒー
食後のコーヒーと一緒に薬を飲むという方もいらっしゃると思います。
コーヒーにはカフェインという成分が含まれています。カフェインには覚醒作用があります。
風邪薬の中にはカフェインが含まれているものもあり、もしカフェインの含まれた風邪薬をコーヒーで飲むと、カフェインの摂りすぎになります。その結果、カフェインが強く作用しすぎて眠れなくなってしまう恐れがあります。
反対に、安静にする作用のある睡眠導入剤などをコーヒーで飲むと、カフェインと効果を打ち消しあってしまって、薬の作用が弱くなる可能性があります。
また、痛風や気管支喘息の薬を一緒に飲んでも、作用が弱くなったり副作用が強く出たりすることがあります。
いずれにせよ、コーヒーで薬を飲むことは避けるべきでしょう。
炭酸飲料
コーラやサイダーなどの炭酸飲料はどうでしょうか?
炭酸には胃の中のph値を変動させる作用があります。薬の種類によっては効果を強めたり、逆に弱めたりする作用があります。
例えば、解熱鎮痛剤として良く処方される「アスピリン」は、炭酸で飲むと吸収が弱くなって薬の効果を弱くしてしまうといわれています。
また、胃薬も炭酸飲料で飲むと胃の中で中和されてしまい、効果が弱くなるといわれています。
糖分の入っていない「炭酸水」についても、効果を弱めてしまう薬があるため、薬と一緒に飲むことは避けたほうが良いでしょう。
グレープフルーツジュースは注意が必要!
グレープフルーツジュースと相性が良くない薬は多数あります。
特に、一部の「カルシウム拮抗薬」という血圧を下げる作用のある薬は、効果が強く出てしまい、心拍数があがったり、頭痛などの副作用が出る恐れがあります。
ほかにも、免疫抑制剤や高コレステロール血症の薬をグレープフルーツジュースで飲むと、効果が強く出たり、副作用が強く出る恐れがあります。
グレープフルーツには「フラノクマリン」という成分が含まれています。「フラノクマリン」は、薬の分解酵素の働きを弱める作用があります。その結果、薬の分解速度が遅くなって、体内に薬の成分がたくさん吸収されてしまい、効果が強く出たり、副作用が強く出たりします。この効果は2〜3日続くことがあります。
また、グレープフルーツを摂取したしばらく後に薬を飲んだ場合でも、影響が出る場合があります。
グレープフルーツと相性の悪い薬の服用中は、グレープフルーツを摂ることは避けたほうが無難でしょう。ただし、柑橘系の中でもみかんやレモンは食べても問題はありません。
アルコールで飲むのはキケン!
薬をアルコールで飲むことは大変危険です。場合によっては命にかかわります。
薬をアルコールで飲むと、体内ではまずアルコールの分解が優先的に行われます。その結果、薬の分解速度が遅くなり、薬が長い間体内にとどまることになり、効果が強く出てしまったり、副作用が強く出てしまう可能性があります。
解熱鎮痛剤(アスピリンなど)をアルコールで飲むと、胃を傷つけてしまったり、肝機能障害を起こす恐れがあります。
糖尿病治療薬をアルコールで飲むと、アルコールの酔いが非常に強くなります。また、薬の効果が強く効きすぎてしまい、低血糖状態になる可能性があります。
血液が固まるのを防ぐ抗凝固剤をアルコールで飲むと、血が止まらなくなったり、脳出血を起こすなど、命にかかわる場合があります。
抗うつ薬をアルコールで飲むと、薬が強く効きすぎてしまい、かえって精神状態が不安定になったり、幻覚や、手の震えが起こることがあります。
また、睡眠薬をアルコールで飲むと酩酊状態になりやすく、記憶障害がおこったり昏睡状態に陥ってしまう恐れがあります。
薬をアルコールで飲むことは絶対に避けましょう!
薬をお水で飲むときはウォーターサーバーがおすすめ!
「薬は水で飲んだほうがいいことはわかったけど、水道水の味が苦手なんだよなぁ…。」
薬を水で飲むときには水道水の使用で問題ありません。しかし、水道水には塩素が含まれているため、味が苦手という方はいらっしゃると思います。そんな方にはウォーターサーバーの導入をおすすめします。
ウォーターサーバーを導入すれば、塩素の含まれていないおいしい水を手軽に飲むことができます。
また、ウォーターサーバーには温度調節機能がついているタイプもあり、水の温度を常温設定にすることも可能です。もちろん白湯も手軽に飲むことができます。
水道水の味が苦手な方は、ぜひウォーターサーバーの導入を検討してみて下さい。
薬をお水で飲むときはコップ1杯の水か白湯で!
薬を水で飲むときの最適な温度と量、水以外で飲むことはおすすめできないことを解説しました。
薬は最適な温度と量で飲むことで効果を十分に発揮できます。
また、薬をそのまま飲んだり、水以外で飲むと思わぬ副作用が出て、かえって体の調子を悪くする可能性があります。
「薬を飲んだら調子が悪くなった…。」といったことがないように、やはり薬は水で飲むのが無難です。「薬を飲むときはコップ1杯の水か白湯で」飲むようにしましょう!