東京で安産祈願が有名な神社といえば「水天宮」が挙げられるのではないでしょうか。日本全国のみならずハワイにも鎮座する水天宮の本宮は、雄大な筑後川が流れる福岡県久留米市にあります。
自然豊かな久留米の地で永く親しまれる「水天宮」。今記事では、その由来や魅力をご案内します。
水天宮をご紹介
安産祈願で有名な水天宮ですが、そのルーツはやはり祀られている御祭神と深くかかわりがあります。
本宮は福岡県久留米市。東京にある水天宮は、久留米藩有馬家屋敷内に祀っていたところ人々の信心が篤く、塀越しにもお賽銭を投げる人が絶えなかったことから毎月5日に限り門戸を解放。これを機に「なさけありまの水天宮」という言葉が流行したほどに親しまれ、現在の日本橋牡蠣殻町に移転してもなお多くの参拝客を集めています。
水天宮の基本情報
水天宮の総本宮は福岡県久留米市。筑後川のほとりに鎮座し、この地を水難から護ってくださっている。そんな印象です。
JR久留米駅の西に位置しているだけあって、JR久留米駅の西口は「水天宮口」と表記されます。ちなみに東口は「まちなか口」とされています。
祀られている神様(御祭神)は4柱
水天宮に祀られている神様(御祭神)は、以下の4柱。
- 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
- 安徳天皇
- 高倉平中宮
- 二位の尼
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」は古事記に登場する神様で、万物の根源を示すとされ、宇宙の起源とも伝えられる。天照大神(アマテラス)など、多くの神様のご先祖にあたることから、安産祈願などのご利益があるとされています。
安徳天皇・高倉平中宮・二位の尼
「安徳天皇」「高倉平中宮」「二位の尼」は、実在する平家の方々。
「二位の尼(平時子)」は平清盛の正室で、その娘が「高倉平中宮」である高倉天皇の皇后(中宮)であり安徳天皇の母、建礼門院徳子という関係性。
この3柱は壇ノ浦の戦いにて平家が敗れ入水。平時子と安徳天皇は亡くなっています。
久留米に遁れ水天宮を祀った按察使局(あぜちのつぼね)伊勢
水天宮は、壇ノ浦の戦いのあと、久留米に遁れた高倉平中宮に仕えていた官女 按察使局(あぜちのつぼね)伊勢が、祠を建てて平家一門を祀ったのがはじまりとされています。
その後、久留米藩2代藩主有馬忠頼公より現在の地に遷し奉られ、農業、漁業、航海業者間に信仰が篤く、子供の守護神、安産、子授の神として御霊験高く今も鎮座しています。
安産祈願で有名な水天宮
水天宮はさまざまなご祈祷を受けることができます。特に安産祈願が有名で、多くの参拝客が訪れます。
水天宮祈祷内容
- 安産祈願ー子どもが無事生まれるよう祈願します。
- 初宮詣ー赤ちゃんが無事に生誕1か月目を迎えたことに感謝して報告します。
- 安産御礼ー赤ちゃんが無事に産まれたことを報告します。
- 子授けー子どもを授けれるよう祈願します。
- 七五三ー子どもの成長を祈願します。
- 厄除けー災厄を払い除けるよう祈願します。
- 交通安全ー事故が起こらないよう祈願します。
- 水難除ー水による厄災がないよう祈願します。
- 海上安全ー海上安全を祈願します。
- 家内安全ー家族に事故や病気がないように祈願します。
- 職場安全ー職場に事故や災いがないように祈願します。
- その他ーご希望の祈祷内容。
安産祈願について
妊婦さんが赤ちゃんの健やかな発育と自身の安全を祈って行うご祈願です。
安定期に入った妊娠5ヶ月目の戌の日に岩田帯(腹帯)をまく風習があります。ご家族揃ってお参りをして、懐妊の報告を行い安産を祈願するのです。
戌の日に行うのは、犬が多産であり且つ安産であることに由来しています。
東京の水天宮に伝わる言い伝え
この水天宮の安産祈願が有名になったのには、ある言い伝えがきっかけと言われています。
それは「その昔、水天宮の社殿の鈴の緒(お参りの際に鈴を鳴らすさらしの紐)のお古の一部をいただき、腹紐として巻いて安産祈願したところ楽にお産ができた」というもの。
そのため現在の東京の水天宮では、さらしの帯そのものが安産御守となっています。
ご祈祷の受付
水天宮では、基本的に予約不要でご祈祷を受け付けています。
ただし、祭典の時間帯はお祓いができないことがありますので注意しましょう。
受付時間は9時〜16時です。
通信祈願について
都合により直接水天宮に行くことができない場合、水天宮では通信祈願を申し込むことができます。
メールまたはFAX、手紙にて祈願をご依頼し、祈願後に水天宮安産腹帯や御神札御守をいただけます。
通信安産祈願の場合の必要事項
- 妊婦様のご氏名(生年月日)
- 配偶者様のご氏名(生年月日)
- ご住所
- ご連絡先(電話番号)
- ご出産予定日
- ご希望祈願日(戌の日などをご指定の場合)
- 水天宮安産腹帯(さらしタイプのみ)の授与の有無
- 御神札御守およびご請求書のお送り先住所及び宛名(1~4と異なる場合)
水天宮境内をみてみよう!
水天宮境内には、水徳の神様である彌都波能売神(みつはのめのかみ)、安産の神様である、鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)の二柱が奉斎されている「水神社」、水天宮の創始者である按察使局伊勢命(あぜちのつぼね いせのみこと)が奉斎されている「千代松神社」など、御本殿以外にもさまざまな見どころがあります。
水天宮境内スポット
- 千代松神社
- 秋葉神社
- 水神社
- 肥前狛犬
- 眞木和泉守記念館
- 高浜虚子の句碑
- 眞木和泉守保臣先生の銅像
- 山梔窩(くちなしのや)
- 眞木神社
- 軍艦千歳慰霊碑
- 鳥居扁額
中でもウォーターマガジンおすすめは、水神社の御前に鎮座する「肥前狛犬」です。
自分の痛いところを撫でれば痛みがとれるということで『撫で狛犬』とも言われ親しまれてします。
また、東郷平八郎元帥の書による水天宮の鳥居扁額も必見です。
筑後川を眺めながら悠久の時を旅しよう
久留米市の水天宮本宮は、その歴史とともに在り続けています。
御祭神の安徳天皇と玉江姫の恋物語の由縁から、椿の花が御神紋となった水天宮。ご本殿周辺は、現在も多く品種のツバキで囲まれています。
水天宮の椿は毎年2月〜3月頃が見ごろ。是非一度訪れてみてはいかがでしょうか。
<取材協力>
■公益財団法人 久留米観光コンベンション国際交流協会
https://welcome-kurume.com/
■全国総本宮 水天宮
http://suitengu.net/