水道水を飲んだりシャワーを浴びたりして肌が荒れるのは、水道水に含まれる塩素などの成分が原因である可能性があります。
日本の水道水は安全といわれていますが、水道水が体に合わないと肌荒れなどさまざまなトラブルを引き起こすことがあるため注意が必要です。
今回は水道水で肌が荒れる原因や対策、美肌に効果的な水の飲み方についてご紹介します。
潤いのある美肌になるための参考にしてみてください。
水道水を飲むと肌荒れが起きるのはなぜ?
水道水を飲んで肌荒れが起きることがあるのは、水道水に含まれる塩素やミネラル成分が原因である可能性があります。
日本の水道水は法律に沿って非常に厳しい検査基準をクリアしているため、そのまま飲んだり入浴したりしても健康に影響を与えることはありません。
しかし水道水の原水は河川や湖の水であり、蛇口から出る水には消毒のための塩素や原水に含まれるミネラル成分が残っています。
そのため水道水が体に合わない人は肌荒れを起こす可能性があるのです。
水道水の残留塩素による肌荒れ
水道水を飲んで肌荒れになってしまった場合、残留塩素が原因である可能性があります。
家庭の蛇口から出る水道水に塩素が含まれているのは、病原微生物を死滅させるためです。
しかし塩素は殺菌力が強いため、体内の腸内細菌まで殺してしまうことがあります。
健康な腸内では善玉菌と悪玉菌、日和見菌がバランスよく存在していますが、塩素によりバランスが崩れてしまうことがあるのです。
腸内環境の乱れは肌トラブルや免疫力の低下につながります。
ストレスや生活習慣だけでなく、残留塩素により腸内環境が乱れる可能性があることを覚えておくとよいでしょう。
水道水のミネラル成分による肌荒れ
水道水に含まれるミネラル成分が原因で肌荒れを起こすこともあります。
ミネラル成分とは、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどの無機質成分で、人間が生きていくために必要な成分です。
健康な人であればミネラル成分を含む水道水を飲んでも大きな影響はありません。
しかし腎臓機能が低下している方や腎臓の病気を患っている方の場合、ミネラル成分が腎臓に負担を与える可能性があります。
腎臓が悪くなると皮膚が乾燥しやすくなり、肌荒れやかゆみを引き起こすこともあるので注意が必要です。
水道水が合わないとどんなトラブルを引き起こす?
水道水が体に合わないと、肌荒れ以外にも次のようなトラブルを引き起こすことがあります。
- 肌が乾燥しやすくなる
- 髪が傷む
- 水あたりになる
誰にでもあてはまるわけではありませんが、なぜ水道水でトラブルが起きるのかそれぞれ詳しく説明していきます。
肌が乾燥しやすくなる
水道水が合わないと肌が乾燥しやすくなりますが、これは水道水の残留塩素が原因であることが多いです。
前述したように塩素は殺菌力が強く、私たちの細胞も傷つけてしまいます。
塩素が肌のたんぱく質を破壊すると、正常な皮膚に備わっている保水力や保湿機能が低下し、洗顔後や入浴後の肌が乾燥しやすくなるのです。
また、肌には本来紫外線やアレルゲンなどの外部刺激から肌を守るバリア機能が備わっていますが、塩素はバリア機能も低下させます。
保水力やバリア機能が低下した状態の肌は外部刺激を受けやすいため、乾燥やかゆみ、肌荒れなどのトラブルが起きやすくなるのです。
残留塩素で髪が傷む
水道水に含まれる塩素は、肌だけでなく髪のたんぱく質も破壊するため、髪が傷みやすくなります。
髪の表面にあるキューティクルの主成分はたんぱく質です。
キューティクルが塩素によりダメージを受けると、髪がパサついたりツヤがなくなったりしてしまいます。
プールで泳いだ後は髪がパサつくという経験をした方も少なくないでしょう。
また髪のキューティクルは、一度ダメージを受けると元の状態に戻すことはできません。
髪内部を保護するキューティクルが剥がれていると紫外線の影響によりさらに傷みやすくなるので注意が必要です。
ミネラル成分や雑菌で水あたりになる
水道水による水あたりの主な原因は、ミネラル成分や雑菌の混入です。
日本の水道水の多くは軟水であり、硬水に比べるとミネラルの量は少ないのですが、沖縄県や千葉県のように硬度が高い地域もあります。
ミネラル成分は腸を刺激するため、硬度の高い水道水を飲むと水あたりになる可能性があることを覚えておくとよいでしょう。
また、水道水に微生物やウィルスが混入していると水あたりする可能性が高いです。
日本の水道水は安全とされていますが、管理状態などにより細菌が繁殖している可能性があります。
水道管の劣化や長期間使用していなかった浄水器、マンションの場合は貯水槽の衛生環境が原因で水あたりになることもあるので注意しましょう。
水道水による肌荒れの原因を知るには水質調査もおすすめ
蛇口から出る水道水の水質調査をすることで肌荒れの原因を探ることができます。
水質調査は保健所に依頼することも可能ですし、水道水検査キットを使って自主検査することも可能です。
水質検査には「11項目検査」や硬度も調べる「13項目検査」などがあり、水道水が飲料水に適しているかどうかを調べることができます。
ただし保健所の検査や検査キットによる自主検査では、基本的に残留塩素の測定をすることはできません。
共立理化学研究所の「おいしい水検査セット」など、残留塩素と硬度を調べられる製品を使うことも検討するとよいでしょう。
水道水による肌荒れを防ぐ4つの対策
水道水による肌荒れなどのトラブルを防ぐ方法は次の4つです。
- 浄水器を設置する
- ウォーターサーバーを利用する
- 市販の飲料水を飲む
- 入浴方法を工夫する
それぞれ詳しく説明しますので、あなたに合う方法を試してみてください。
1. 浄水器を設置する
水道水の残留塩素による肌荒れや髪のトラブルを防ぐには、浄水器の設置がおすすめです。
浄水器内部にあるフィルターが残留塩素やトリハロメタン、不純物やカビ臭などを取り除くため、水道水がより安全でおいしい水になります。
水道水による肌荒れや手荒れ、髪の傷みが気になる方は、蛇口やお風呂場のシャワーヘッドなどに浄水器を設置するとよいでしょう。
ただし浄水器のカートリッジは定期的に交換する必要があります。
適切なタイミングで交換しないと目詰まりや故障の原因になることがあるので注意しましょう。
2. ウォーターサーバーを利用する
水道水によるトラブルを防ぐにはウォーターサーバーを利用する方法もあります。
ウォーターサーバーに使用する水は、天然のミネラルを含む天然水または不純物を徹底的に取り除いたRO水です。
どちらも残留塩素は含まれていないため、安心して飲み水や料理に使うことができます。
ウォーターサーバーには「ボトルタイプ」と「水道直結型」があるので、用途や使い勝手に合わせて選ぶとよいでしょう。
3. 市販の飲料水を飲む
水道水による肌荒れを防ぐには市販の飲料水を飲む方法もおすすめです。
市販のペットボトル入りの飲料水であれば、残留塩素やニオイなどの心配もなく安心して飲むことができます。
浄水器やウォーターサーバーの設置と異なり、日本各地の名水や深層水、アルカリイオン水など豊富な種類から選べるのもメリットのひとつです。
未開封であれば1年~3年、備蓄用の場合は5年と長期間の保存が可能なので、非常時に備えて買い置きすることもできます。
4. 入浴方法を工夫する
水道水での入浴による肌荒れが気になる方は、入浴方法を工夫してみましょう。
おすすめは柑橘類の皮や入浴剤を使う方法です。
レモンやゆず、みかんなどの柑橘類にはビタミンCが含まれており、ビタミンCには塩素を中和させる作用があります。
また入浴剤には塩素除去の作用がある「チオ硫酸ナトリウム」や「アスコルビン酸」などが含まれていることが多いです。
シャワーから直接浴びる水道水の塩素除去はできませんが、湯舟に浸かるときの肌荒れ対策として覚えておくとよいでしょう。
肌荒れ対策には適度な水分摂取が不可欠!
最後にご紹介するのは、肌荒れ対策に欠かせない水分の摂取方法です。
肌が乾燥して潤いがなくなると、シワやたるみ、肌荒れ、ニキビや毛穴の開きなどの肌トラブルにつながります。
体内の水分不足は健康や美肌の敵であり、メリットはひとつもありません。
1日に必要な水分量や美肌作りに効果的な水の飲み方を説明しますので、潤いのある美肌を目指してください。
体内の水分不足は肌荒れのもと
体内の水分が不足すると血液やリンパの流れが悪くなり、健康な肌細胞を維持できず肌荒れになります。
私たちの体の約60%は水分ですが、肌細胞もまた約60%が水分で構成されているため、美肌を保つには十分な水分摂取が必要です。
また約4週間で起こる肌のターンオーバーにも水分が欠かせません。ターンオーバーの乱れは肌荒れにつながります。
洗顔や入浴後に肌を保湿することも大切ですが、水を飲むことで体の中からスキンケアするようにしましょう。
美肌に効果的な水の飲み方
美肌作りには、体に必要な水分を数回に分けて飲む方法がおすすめです。
理想的な1日の水分摂取量は体重1kgあたり40mlとされています。
体重45kg~55kgの方は1.8L~2.2Lを目安にし、コップ1杯の常温の水を1日に数回飲むとよいでしょう。
特に意識して水を飲みたいタイミングは、起床後、食事中、運動前後、入浴前後、就寝前です。
のどが渇いたと感じたときも水を飲むように心がけましょう。
ただし、コーヒーやお茶などのカフェインを含む飲み物や、アルコールや糖分を含む飲み物は美肌作りの水分補給には不向きです。
あなたの体に合う安全でおいしい水を飲んでください。
肌荒れの原因と対策を知り水道水と上手に付き合おう
日本の水道水は世界的にも安全性が高く、そのまま飲んだり入浴したりしても大きな問題はないとされています。
しかし残留塩素やミネラル成分が合わず、肌荒れなどのトラブルを起こす方も少なくありません。
肌荒れを防いで美肌作りするためにも、水道水と上手に付き合う方法をおさえておくと安心です。
水道水をよりおいしく、より安全にするためにも、浄水器やウォーターサーバーの設置を検討してみてはいかがでしょうか。