「水中毒って何?」「水中毒になるとどんな症状が現れるの?」
暑い時期になると熱中症対策のためにも水分補給は大事になります。しかし、逆に水を飲み過ぎると体調を崩してしまうことはご存じでしょうか?
水の飲み過ぎによる体調不良は「水中毒」と言われており、最悪の場合、命の危機に晒されることもあります。
そこで本記事では、水中毒の症状や、原因・対策などを解説します。水をよく飲む人は特によく確認しておきましょう。
水中毒とは?水の飲み過ぎで起こる症状
「水中毒」は「多飲症」の結果引き起こされる病気のことを指します。
「多飲症」とは、異常な喉の渇きで飲む量がコントロールできず、日常生活に支障を来す病気です。
引用:山梨県立北病院
なお、多飲症は精神疾患発症後に見られることが多く、妄想や強迫観念などが原因で破傷することがあります。
水を大量に飲むことによって血液中のナトリウム濃度が低下し電解質のバランスが崩れ、「希釈性ナトリウム血症」といった状態になります。
このような状態を総称して「水中毒」と呼びます。
水中毒の症状
水中毒の症状は軽症と重症に分けられます。
軽症の場合は以下の症状が起こります。
- めまい
- 頭痛
- 頻尿
- 疲労感
- むくみ
- 下痢 など
軽症の場合、命に関わるような状態にはなりませんが、日常生活に支障をきたします。また、水をよく飲む人で上記の症状が現れた場合は水中毒を疑いましょう。
そして、重症の場合は以下の症状が起こります。
- 錯乱
- 嘔吐
- 意識障害
- 呼吸困難
- けいれん
- 昏睡状態
- 肺水腫
- 心不全 など
重症になると命の危険に関わる場合があります。そのため、なるべく軽症の段階で気づくことが重要です。
水中毒になる原因
そもそもなぜ水中毒になるほど水を飲んでしまうのでしょうか?その原因には以下の5つが考えられます。
- 不安や幻覚など精神疾患の症状
- 薬の副作用による口の渇き
- 精神薬の長期的な服用
- ストレスによる水の過剰摂取
- ダイエット
1. 不安や幻覚など精神疾患の症状
水中毒の患者には、精神疾患を発症している人がよく見られます。不安や幻覚などの精神疾患の症状から水を飲むことが習慣化され、水を過剰摂取してしまう傾向があります。
2. 薬の副作用による口の渇き
精神疾患患者が服用する薬には口が渇きやすくなるといった副作用があります。副作用により、必要以上に水を飲んで水中毒になることがあります。
3. 精神薬の長期的な服用
精神薬も喉の渇きを引き起こします。さらに精神薬を服用すると利尿ホルモンが分泌され、体に水分を溜め込むようになり、その結果水中毒となることがあります。
4. ストレスによる水の過剰摂取
ストレスから水を大量に摂取してしまう人もいます。
5. ダイエット
ダイエット中に空腹を紛らわせるために水分を大量に摂取することがあります。しかし、空腹のあまり水を飲み過ぎると水中毒になる危険があります。
悪い水の飲み方は?短時間で大量に飲む
では、具体的にどのような水の飲み方が水中毒を引き起こすのでしょうか?結論、「短時間で大量に飲む」ことは水中毒を引き起こす可能性があります。
水の飲む量は季節や環境、体格などによって異なり、個人差があります。そのため、「1時間以内に〇L以上飲むのはいけない」といったことは言えません。
しかし、「1日に7リットル以上」「1日に10リットル以上」といった飲み方は明らかに危険です。なお、女子スポーツ選手が1日に7.5リットルの水を飲んで死亡したといった事例があります。大量に汗をかくスポーツ選手でもこのような量の水を飲むことは危険なのです。
水の正しい飲み方は?適切な量を適切なタイミングに飲む
水の正しい飲み方には「量」と「タイミング」の2つの要素があります。それぞれの正しい方法について解説します。
飲む水の量の目安
健康な成人であれば、1日に体重1kgにつき約35mlの水が必要と言われています。60kgの成人であれば2.1リットル、80kgの成人であれば2.8リットルの水が必要になります。
しかし、飲む水の量は年齢や食事内容、活動レベル、天候によっても変わります。より活発的だったり、暑い天候であったりした場合はさらに多くの水が必要です。一方で、活動レベルが低く、天候が良くない場合は最低限体重1kg×35mlの水を摂取するようにしましょう。
飲むタイミング
水を飲むタイミングは以下のポイントを意識しましょう。
- 朝起きてすぐに1杯の水を飲む
- 午前中に水を少しずつ飲んで、1リットル飲み切る
- 食事ごとに1杯の水を飲む
- 水以外のドリンクを飲むと同時に水を1杯飲む
上記4つのポイントを意識すると水分不足、過剰摂取を防げます。
水中毒の予防するには?経口補水液も活用する
水中毒の予防には「経口補水液」も活用することがおすすめです。
経口補水液とは人間の体液に近い成分で作られた飲料水で、脱水症状の患者に飲ませたり、脱水症状の予防として飲んだりします。経口補水液には塩分や糖分も含まれているため、水分と一緒にナトリウムを補給することもできるのです。
しかし、経口補水液には「美味しくない」といったデメリットがあります。体内のナトリウム濃度が味の感じ方に影響しており、脱水状態になると美味しく感じるようになっています。
経口補水液が飲みづらい場合は自作することをおすすめします。作り方は市販の経口補水液1リットルに大さじ2〜4杯のフルーツ果汁を加えるだけです。また、砂糖やハチミツを加えるのもおすすめです。
このように、経口補水液を活用することで、水中毒を防ぐことができます。
水中毒になったらどうするの?水分を制限する
実際に水中毒の症状が現れたらどうしたらよいのでしょうか?基本的には摂取する水分を制限します。
しかし、水中毒の進行具合によって対応が変わるため、状況別の治療法を紹介します。
水中毒が発症してすぐ(症状は特になし)
軽症すらもまだ現れていない場合は水分を制限するだけで改善されることがあります。
飲む水の量を「体重×35ml」程度に制限しましょう。そうすることで血清ナトリウム値が改善されます。
軽症の場合
軽症の場合は以下を意識して生活します。
- 少量の水を複数回に分けて摂取する
- 口が渇く場合はうがいで口の中を潤す
- 経口補水液を活用する
また、横になれる場合は横になって安静にしておくと回復が早くなります。
重症の場合
重症の場合は輸血によるナトリウム補充が必要な場合があります。まずは近くの医者に相談しましょう。
塩分の補給も慎重に行う
水中毒を引き起こした場合は塩分の補給も忘れてはいけません。しかし、急に塩分を大量摂取するといったことはないようにしましょう。
具体的には、「経口補水液をこまめに飲む」「梅干しや塩あめなどを数時間おきに補給する」などして、塩分を補給します。水中毒時の塩分補給は慎重に行いましょう。
正しい方法で水分補給をしよう!
本記事では水の飲み過ぎによって引き起こる「水中毒」について解説しました。水中毒は水の飲み過ぎによって発症します。
水中毒を防ぐためには正しい方法で水分補給をすることが重要です。飲む水の量・飲むタイミングを意識して生活することが大切です。
ぜひ本記事を参考にして水中毒を防ぎ、健康的な日常生活を過ごしましょう。